引っ越しでまず最初に立ちはだかる難関が「お部屋探し」です。
最近ではインターネットやスマホアプリを使って部屋探しをされる方がほとんどではないでしょうか。
インターネットを使った部屋探しで、物件の良し悪しを見極めるためには徹底した情報収集が大切です。
ここで失敗してしまうと数万円~十数万円も損してしまったり、またすぐに引っ越すなんてことになったら何十万円も損することになります。
この記事では、失敗しない部屋探しのコツとテクニックをご紹介したいと思います。
完璧(パーフェクト)な物件はない
部屋探しでいくら探しても物件がなかなか決められない人は、希望の条件が厳しすぎる傾向にあります。
まず前提として念頭に置いてもらいたいのは「賃貸物件に完璧(パーフェクト)な物件はない」ということです。
新築でマイホームを建てるなら間取りや設備をとことんこだわって自分の思い通りに設計することができますが、賃貸物件でそれを求めても永久に見つからないでしょう。
もし理想に近い物件があったとしても、魅力的な物件ほど家賃が高くて手が出ないものです。
いいなと思う物件でも、一つや二つはちょっと残念な部分は必ずあります。
部屋探しは、自分の収入や予算に見合った額で、より良い物件を見つけることが目的です。
そのために大切なのは、絶対に譲れない条件と妥協できる条件を明確に切り分けることです。
こだわり条件に優先順位をつける
上記で「大切なのは絶対に譲れない条件と妥協できる条件を明確に切り分けること」と書きましたが、もう少し分かりやすく言うと「こだわり条件に優先順位をつける」ということです。
まずはアナタの中で各条件を「○○じゃないと嫌だ!」と「○○だったらいいな。」に切り分けましょう。
「○○じゃないと嫌だ!」は絶対に譲れない条件、「○○だったらいいな。」は妥協できる条件に切り分けできるはずです。
ここで「絶対に譲れない条件」が多すぎると、候補の物件が少なくなりますから、3~5つぐらいにしておくのが良いでしょう。
切り分けができたら、各条件に優先順位をつけます。
参考までに私の場合を例にしてみます。
絶対に譲れない条件
- 「ペット可物件」
- 「バス・トイレ別」
- 「収納が多い」
妥協できる条件にも優先順位をつけておきましょう。
妥協できる条件
- 「日当たりが良い」
- 「追い焚き機能付き」
- 「温水洗浄便座」
- 「角部屋」
もちろん他にも「○○だったらいいな」はたくさんありますが、それは「あればラッキー」ぐらいに考えておきましょう。
インターネットの賃貸サイトをフル活用しよう
いきなり不動産屋さんに行くのはおすすめできません。
ある程度ネットで目ぼしい物件を見つけてから、その物件を管理、または仲介している不動産屋に訪問することをお勧めします。
まずはインターネットの賃貸サイトで物件を検索して、どのような物件があるのかをリサーチしましょう。
「SUUMO」や「LIFULL HOMES」などの大手ポータルサイトを検索すればたくさん出てくると思います。
また、入居が決定するとキャッシュバックがもらえる賃貸サイトや、ペット可物件専門サイトや家賃6万円以下専門店など、一つの条件に特化した専門性の高い賃貸サイトもありますので、こだわり条件が合致する方はこちらのサイトを利用してみると探しやすいかもしれません。
【祝い金がもらえる賃貸サイト】
【東京6万円以下の物件専門サイト】
【ペット可物件専門サイト】
【大学名で検索できる学生向け物件専門サイト】
どのサイトにも同じ物件が掲載されていることがありますが、そのサイトにしか掲載されていない物件もあるので、できるだけ多くのサイトを使って探してみると掘り出しモノ物件が見つかるかもしれません。
また、同じ物件なのに掲載しているサイトによって敷金などの初期費用や家賃が若干違うこともあります。
物件を掲載している不動産会社によって「仲介手数料」も異なる場合がありますのでしっかりチェックしましょう。
検索の際は、地域または路線、家賃の上限、駅からの距離、間取りタイプ、築年数、その他のこだわり条件などを入力することで絞り込めます。
ここで、アナタの家賃の上限と希望の間取り、上記で切り分けた「絶対譲れない条件」を入力して検索します。
並び順を「家賃の安い順」に変更して見ていきましょう。
間取り図を確認する
私の場合は、まず真っ先に「間取り図」を見ます。
同じ2DKなどの間取りでも、部屋の配置が違うだけでかなり使い勝手は変わってきます。
間取り図を見る時は、その物件に住んで生活している自分をイメージしながら見ると、使いやすい間取りか微妙な間取りかの判別ができると思います。
家具の配置等も同時にイメージしておきましょう。
ここで忘れてはいけないのが、収納スペースの確認です。
都内のマンションなどでは収納スペースが全くない部屋もありますし、あっても小さなクローゼットが一つだけだったりもします。
生活を続けていると荷物は増え続けます。
収納しきれなくなった荷物は部屋の中に置くことになるので、必然的に居住スペースが狭くなります。
今ある荷物を全部収納しても余裕があるぐらいの収納スペースを確保できるのが理想です。
写真を確認する
次に「写真」をチェックします。
外観、室内、キッチン、トイレ、お風呂、ベランダ、窓からの展望等、なるべくたくさんの写真が掲載されているとありがたいです。
中には写真が全く無いものや、最寄り駅や周辺の公園やスーパーなど、関係ない写真しか掲載されていない物件もあります。
ひどいものだと間取り図すらないものもあります。
こういう物件は怪しいのでとっとと次の物件を見ましょう。
写真がたくさん掲載されていればありがたいですが、この写真を見て全てを分かった気になってはいけません。
実はネットに掲載されている写真は同じ物件内の他の部屋の写真を使いまわしていることが多々あります。
共同住宅は隣と部屋の配置や水回りの配置が左右対称になっていることが多いです。
実際に内見に行くと、写真で見た部屋と左右が逆だったり、部屋の設備が写真で見たものより古い、なんてこともよくあります。
また、中には撮影の仕方が絶妙に上手いものもあります。
ものすごく広く見えるアングルから撮っていたり、燦々と日差しが差し込む時間帯に撮られていたり。
そして当然のことながら、都合の悪い部分の写真は載せていません。
写真では日が差し込んで明るかったのに、内見に行くと昼なのに全く日が当たらなかったり…。
詐欺画像とまではいいませんが、写真を過信しすぎると騙されてしまうかもしれません。
詳細を確認する
間取り図と写真を見て「この物件いいな!」と思ったら、「物件の詳細」をしっかり確認しましょう。
家賃、共益費、敷金、礼金、平米数、建物の向き、建物の種別、築年数、住所、物件名、最寄駅からの距離、部屋の特徴や設備、物件概要等。
「物件概要」には間取りの詳細や何階建ての何階か、いつごろ入居可か、建物の構造、取引態様など、細かいことも記載されているので、漏れなくチェックしましょう。
ここで絶対にチェックすべき点は「備考欄」です。
実際にネットに掲載されている物件を例に挙げると…
「退室時のハウスクリーニング費用45,000円(税別)および畳の表替え費用54,000円(税別)は借主負担とする。」
…え?
この場合、退去する際に敷金から106,920円(税込)は問答無用で引かれるってことです。
しかしこの物件、入居する際の敷金は家賃の1ヶ月分で、49,000円です。
敷金は退去時に戻ってくるお金ですが、これでは足りずに追加で支払わなければいけません。
畳の表替えも高すぎます。
どんなに短期間で退去したとしても、畳が全く汚れていなくても、退去時には全部の畳を張り替えるという口実でお金を取られるパターンです。
契約書の特約のところにこっそり書かれていると思います。
実際は表替えをする必要がなければしないでしょうけど、お金はきっちり搾り取られます。
上記のように備考欄に正直に書いていればまだ良心的な方だと思います。
特段何も書いていなかったのに、契約の段階で契約書に書かれている場合などもあると思いますので注意が必要です。
最近では退去時のハウスクリーニング費用は全額借主負担が主流なのかなと思います。
不動産貸付業って寝てても毎月お金が入ってくる不労所得というイメージがありますが、賃貸物件の空室率は年々高くなっていますから、大家さんの収益もそう多くないでしょうし、意外と経営には経費がかかります。
大きな修繕工事を入れたりすると、その年は赤字になる大家さんも珍しくありません。
日本の法律(借地借家法)は、入居者に優しく、大家さんに厳しくできています。
退去時の原状回復修繕や経年劣化による修繕は基本的に大家さんが負担しますから「ハウスクリーニング費用ぐらいは入居者が出してよ~」って気持ちも理解できなくはないです。
少し話が逸れましたが、他にも備考欄には「保証会社加入必須」とか「ペット飼育の場合、敷金+1ヶ月」とか書かれていますので、必ず確認しましょう。
余談ですが、備考欄に「心理的瑕疵あり」と書かれていたら事故物件です。
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他の賃貸サイトで同じ物件を調べる
詳細まで確認して、条件に見合う物件だったらすぐに問い合わせをしたいところですが、もう少し我慢!
他の賃貸サイトを使って同じ物件を調べてみましょう。
「SUUMO」「LIFULL HOMES」「アットホーム」
物件名が公開されていた場合は、検索エンジンに物件名を入力して検索すると良いでしょう。
上記でも説明しましたが、どのサイトにも同じ物件が掲載されていることがあります。
違うサイトで調べてみたら写真が豊富だったり、詳細な情報が記載されていたり、家賃や初期費用にも差があったりします。
ここでチェックしたいのは、画面の下部にある「情報提供会社」です。
サイトによって掲載している会社が異なっていたり、同じ物件を複数の不動産会社が掲載している場合があります。
これは、不動産屋の多くは業者専用のデータベースを使って物件の情報を共有しているからです。
物件を取り扱う不動産会社には、大家さんから物件の管理を委託されている「管理会社」(元付け)と、その物件の情報を基にお客さんへ物件の紹介を行う「仲介会社」(客付け)の二種類があります。
見分ける方法としては、賃貸サイトで「取引態様」が「専任媒介」「貸主」「代理」となっている場合は管理会社です。
「仲介」「媒介」と記載されている場合は仲介会社です。
どちらの不動産屋さんを利用したら良いかは、目的の物件に限って言えば「管理会社」でしょう。
管理会社は直接大家さんとのお付き合いがあるので契約時の交渉がしやすいことが多いです。
自社が管理している物件なので、大家さんや他の入居者、物件に対する質問にも明確に回答できます。
一方、仲介会社は物件の情報だけを基に紹介していますから、同じ交渉や質問をした場合、管理会社に問い合わせてからでないと回答できないケースが多いです。
どちらにせよ、入居後は管理会社とのお付き合いになりますので、最初から管理会社を選んだ方が手っ取り早いと思います。
Googleマップのストリートビューで周辺環境を調べる
問い合わせをするその前に、もう少し下調べをしておきましょう。
賃貸サイトの物件ページには、物件周辺の地図が見られるようになっています。
大体どこのサイトも「Googleマップ」と連携していると思いますので、物件周辺の町並みはどんな雰囲気か、近隣にどんなお店があるか、コンビニの位置、駅までの道のり、病院や郵便局、市役所の場所等、周辺施設を調べましょう。
「ストリートビュー機能」を使えば、現地の雰囲気や近隣の様子を写真確認することができるのでお勧めです。
もし実際に下見に行ける距離なら、実際に行ってみることをおすすめします。
私はこれ、結構やってます。
駅からの距離感も実際に歩いてみた方が分かりやすいですし、昼と夜では街の雰囲気も違いますから、できれば時間帯を変えて、何度か行ってみると違った一面に気づくかもしれません。
特に女性は人通りの少ない夜道を歩くのは危険ですから、街灯や人通りを確認しておくと良いかもしれません。
的を絞って内見しよう
しっかり下調べができたら、内見する物件を2~3件に絞り込みましょう。
あまり多くの物件を見て回ると時間もかかりますし、どれがどの物件だったか分からなくなったりします。
ちょっと気になるなぁ程度の物件では内見する時間と労力の無駄です。
「ここに住みたい!」と思う物件だけを1日で内見しましょう。
ネットでの下調べをしっかりしていれば、第一希望の物件、第ニ希望の物件と、アナタの中で候補ができあがっていると思います。
この時点でアナタの住みたい物件はほぼ決まっていると言っても過言ではないと思います。
あとは実際に自分の目で見て、問題がなければそこに決めるべきです。
私の場合、内見する物件は1件だけだったりします。
ついでに数件見て回ったこともありますが、自分の第一希望の物件が覆ったことはないです。
内見まで辿り着いた物件なら、そこに決めるつもりで内見に行きましょう。
内見の申し込みは賃貸サイト内のメールフォームから空室状況の確認と同時に行いましょう。
賃貸サイトの物件情報はリアルタイムではないので、空室確認をしたらもうその物件はない場合もあります。
本当に先を越されただけなのかもしれませんが、おとり物件だった可能性もあります。
どちらの場合も、メールの文章に「他にもご紹介できる物件が多数ございますので是非一度ご来店ください」という営業トークが記述されていると思いますが、おとり物件で客を引こうとする不動産会社になんて行きたくないですよね。
電話だと相手のペースに乗せられ、強引に来店日を決められてしまうかもしれません。
なので、私は賃貸サイト内のメールフォームからの問い合わせを推奨しています。
内見時のチェックポイントは下記の記事にまとめましたので参考にして頂けると幸いです。
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短期決戦!早いもの勝ち!最後は決断力!
上記で「ここに住みたい!」と思う物件だけを1日で内見しましょうと言いましたが、賃貸物件の情報は入れ替わるサイクルがとても早いからです。
内見して気に入った物件があっても保留にして、後日他の物件を見て回るなんてやっていると、やっぱり最初に見た物件にしようと思った時には時すでに遅し。
その物件はなくなっている、なんてことになりかねません。
ネットに掲載される物件情報は、複数の不動産屋が共有し仲介していますから、不特定多数の人が見ています。
総合的に良い物件は誰が見ても良いし、お得な物件は誰が見てもお得なので、すぐになくなって当然なのです。
スーパーのタイムセールで、超お買得商品が一瞬で完売するのと同じです。
逆に何ヶ月もずーっと掲載されている物件は、実在しないおとり物件か条件の悪い売れ残り物件でしょう。
よく不動産会社の営業マンが「この物件人気なんで今決めないとなくなっちゃいますよ!」と内見したその日に即決させようとするなんて話を耳にしますけど、これ、嘘ではありません。
売れ残り物件を紹介してこのセリフを言う営業マンなら悪徳不動産屋だと思いますが、本当にいい物件でアナタの部屋探しに親身になってくれている営業マンでも同じことを言うのではないでしょうか?
営業マンの見極めは難しいですが、私が今ここで言いたいのは、本当に良い物件はすぐになくなってしまうということです。
私の場合、内見する段階で自分の中ではほぼ決めているのでいつも迷わず即決します。
内見する候補を1~3件に絞るのも、内見を1日で終わらせるのも、迷わずスピーディーな結論を出すための秘策です。
無理に内見したその日に決める必要はないですが、時間をかけて考えても1~2日で結論を出しましょう。
最終的に必要なのは決断力です。
綿密な計画、入念な下調べがあれば、あとは自分の直感を信じて決断を下しましょう。