賃貸物件を借りる時、家賃交渉はしなきゃ損!と思ってとりあえずダメ元で「家賃もっと安くなりませんか?」なんて言っていませんか?
確かに、家賃や初期費用は値下げ交渉することができます。
しかし、無謀な交渉を仕掛けると不動産屋さんや大家さんに嫌われ、最悪入居を断られてしまう場合もあります。
この記事では、家賃交渉のポイントと成功しやすいテクニックをご紹介します。
大家さんの立場で考えてみる
「家賃を5,000円下げて欲しい」など、根拠のない要求を一方的に押し付けることは「交渉」ではありません。
家賃を下げるということは、大家さんにとっては大変なことです。
月5,000円も下げてしまったら契約期間の2年で12万円の損失です。
自分に置き換えて考えてみましょう。
アナタの給料が月5,000円も下がったらどうでしょう?
「ふざけんじゃないよー!」と言いたくなりませんか?
人によっては「給料下げるんだったらこんな会社辞めてやる!」と言う人もいるのではないでしょうか。
大家さんにとって「家賃を下げて欲しい」と言われることは、アナタが会社から「給料を下げさせて欲しい」と言われるのと同じことなのです。
だからこそ、家賃を下げてもらうにはそれだけの正当な理由が必要ですし、大家さんによっては家賃交渉が仇となって入居を断られるリスクさえあるのです。
そう考えると家賃交渉ってそんなに簡単ではないですし、とりあえずダメ元で言ってみればいいというものでもないことがお分かり頂けるのではないでしょうか。
それに、家賃を下げることで単純に大家さんの年間収益が下がるだけならまだいいのです。
太っ腹な大家さんならあっさり下げてくれるかもしれません。
しかし、家賃を下げる最大のリスクは物件の資産価値を下げてしまうことなのです。
家賃を下げるくらいなら1ヶ月フリーレントにした方が大家さん的には得策です。
他の入居者に「家賃の差」があることが知れてしまうとトラブルにもなりかねません。
簡単に家賃を下げてしまう大家さんはこのことに気づいていないかもしれないですね。
最近は賃貸物件の空室率が高くなり、借りて欲しい大家さんも多いのは事実ですが、どの大家さんも非常識な人には入居してもらいたくありません。
何の理由もないのに、自己中心的にただ家賃を下げて欲しいと言ってくる人に大家さんは部屋を貸したいと思うでしょうか?
こちらはあくまで部屋を貸してもらう立場です。
決して「借りてあげる」立場ではありません。
大家さんと入居者は利害関係にあります。
交渉もお互いの利害が一致しないと成立しないのです。
自分の主張が常識の範囲内なのかを考慮し、大家さんのメリットも考えた上で交渉するように心がけましょう。
家賃交渉の可否
まず家賃交渉が可能な物件か否かを見極める必要があります。
全ての物件で家賃交渉ができるわけではありません。
家賃交渉の可否は物件次第であり、大家さん次第でもあります。
交渉には家賃を下げてもらうだけの正当な理由が必要です。
どのような物件が交渉できるのか、逆にどのような場合が交渉できないのかを見ていきましょう。
相場と比べて割高な物件
家賃には「相場」というものがあります。
地域や築年数、物件のクオリティによって家賃相場は大きく変動しますが、相場より安めの物件をさらに安くしようとしても難しいでしょう。
近隣の同じような物件より家賃が高めなら交渉の余地はあると思います。
家賃相場は賃貸サイトなどで色々な物件を見ていると、段々掴めてきますよ。
空室期間が長い物件
空室期間が長くなると大家さんの入居して欲しい熱は高まります。
特に1月~3月の繁忙期に入居が決まらなかった物件は狙い目です。
なぜなら、この時期に入居が決まらなかった部屋は最悪1年中空室になる可能性があるからです。
ただし、すでに家賃を下げて募集している場合もあるので、相場との兼ね合いなども考慮する必要があります。
マイナスポイントを材料にする
「大きな傷がある」とか「設備に不具合がある」などの物件のマイナスポイントを我慢する代わりに、家賃を下げてもらうことができる場合があります。
私の場合、交渉した訳ではありませんが似たような状況で家賃が下がった事例がありますのでご紹介します。
入居したマンションの水圧が異常に低かったので管理会社へ相談しました。
大家さんもすぐに動いてくれたようで、水道屋さんが水圧の調査に来たりしました。
後日管理会社から連絡があり「屋上の貯水槽や配管の掃除も行ったのですが、建物自体がかなり古いためこれ以上水圧を上げることは難しいみたいです」と言われました。
大家さんから「できれば原状のままで我慢して欲しい」と言われたので了承したところ、申し訳ないということで家賃を1,000円値下げしてくれました。
このように、物件のマイナスポイントを材料にして家賃交渉をすると成功しやすいと思います。
値下げ交渉は家賃だけじゃない
家賃交渉が成功しても、値下げ幅はせいぜい1,000円~2,000円がほとんどだと思います。
5,000円~10,000円も下がったのなら、そもそもの家賃設定に疑問が生じます。
値下げ交渉の中でも、家賃そのものを下げるのは難易度が高いです。
大家さんからしてみれば家賃は永続的な収入ですし、家賃を下げると物件の資産価値が下がったり、他の住人に家賃の差が知れてトラブルになったりとリスクがありますから、簡単には下げてくれないものです。
家賃以外にも値下げ交渉できるものがありますのでご紹介します。
礼金をなしにしてもらう
家賃以外で値下げ交渉しやすいのは「礼金」です。
大家さんに「部屋を貸してくれたお礼」の意味で支払うお金ですが、礼金は敷金と違って退去時に返ってきません。
礼金の由来は諸説ありますが、住むところが不足していた時代に、住むところを貸してくれた大家さんに謝礼金として支払われたのが定着したという説。
進学や就職のために地方から上京する若者の親が「我が子がご面倒をおかけします」という意味でお金を包んだことが始まりとも言われています。
どちらにせよ、昔の人は律儀だったのです。
その風習が今も根強く残っているのですが、今の時代にはあまり必要性がない気がします。
最近では礼金がない物件も増えていますが、家賃の1ヶ月分を礼金として支払う物件はまだまだ多いです。
また「数字のカラクリ」を利用して、募集の段階で家賃を下げる代わりに礼金を1ヶ月にすることで、家賃を安く見せている場合もあります。
家賃を2,000円下げてもらった場合、契約期間の2年で48,000円。
礼金は通常家賃の1ヶ月分ですから、家賃50,000円以上の物件なら礼金をなしにしてもらった方がお得です。
2年以上住み続ける場合には家賃を下げてもらった方がお得ではありますが、難易度の高い交渉になるので礼金で手を打つのも有効だと思います。
入居月の日割り家賃分をフリーレントにしてもらう
「フリーレント」とは、一定の期間の家賃を無料にしてもらうことです。
フリーレント付きの物件だと通常1ヶ月ですが、入居月の日割り家賃をフリーレントにしてもらうのもアリだと思います。
入居日によって日割りの日数は変わってきますが、半月分以下なら大家さんも応じてくれるかもしれません。
設備を追加してもらう
金銭面だけに目を向けがちですが、少し視点を変えてみるのも良いと思います。
例えば、エアコンが設備としてない部屋にエアコンを設置してもらうというのも良い方法だと思います。
大家さんも経費はかかりますが、アナタが退去した後、広告に「エアコン完備」記載して次の入居者を募集できます。
今のご時世だとエアコンが設備としてあるのが当たり前ですし、逆にエアコンがない物件は誰も借りてくれないですので、お互いにメリットがあると言えるでしょう。
鍵交換をしない
一般的に入居時の初期費用として「鍵の交換費用」を請求されると思いますが、「鍵交換をしない」ことを選択すれば初期費用を抑えることができます。
交換費用は鍵の種類によっても違いますが、一般的な鍵で12,000円程度、特殊な鍵だと15,000円~25,000円ぐらいです。
前の入居者が合鍵を作って持っている可能性があるので、セキュリティ上の観点から交換することが当たり前になっていますが、実際は鍵の交換を行わずに費用だけ請求しているケースも少なからずあるのではないかと思っています。
鍵とシリンダーは新品に交換するのではなく、違う部屋(または違う物件)で使っていたものと交換するので、要するに使いまわしです。
受け取った新居の鍵が新品ではなく、使用感があるのはこのためです。
しかし、本当に鍵を交換したのかどうかは確かめようがないのが原状です。
もちろん防犯のために鍵を換えたい方は是非換えてください。
気になる方は鍵交換に立ち会いたいと不動産屋に申し出ましょう。
初期費用を抑えるために鍵交換をしない方は、防犯上のリスクがありますので、あくまで自己責任でお願いします。
不要な付加サービス・費用をなしにする
物件によっては「24時間緊急対応サービス」とか「抗菌消臭費」とか「害虫駆除費」など、様々な名目で費用が請求される場合があります。
これが意外と高いのです。
このような付加サービスを「要りません!」と言ってなしにしてもらうことで初期費用がぐっと抑えられます。
しかし、不動産会社が必須項目として定めていることがあるので、その場合はなしにできないこともあります。
特に「家賃保証会社」や「24時間緊急対応サービス」などは加入することで不動産会社に代理店報酬が入るので、なしにできない場合が多いです。
良心的な不動産会社だとこの代理店報酬を仲介手数料や加入金に充てて入居者に還元してくれるところもあります。
火災・家財保険に自分で入る
契約の際に必ず加入させられる火災・家財保険ですが、多くの方は不動産屋が指定した保険会社のプランをそのまま申し込むと思います。
一般的には2年間で15,000円~20,000円ぐらいです。
あまり知られていないですが、この火災・家財保険、賃貸の場合でも自分で保険会社やプランを選んで加入することができるのです。
保険の種類やプランについてはここでは割愛しますが、自分にあった保険会社やプランを選ぶことで、保険料を安く抑えることができます。
【参考】
連帯保証人を立てる
最近は連帯保証人を立てず、家賃保証会社を利用するケースが増えています。
しかし、保証会社は審査がある上、加入時の初期費用や月々の手数料が発生します。
初期費用は保証会社によって違いますが、数万円~家賃の1ヶ月分程度です。
月々の保証手数料も、なしの場合もあれば、家賃の数パーセントが家賃に加算されるところもあります。
保証会社の利用は結構お金がかかるのです。
親族等を連帯保証人として立てることができれば家賃保証会社を利用せずに済みますので、かなり費用を抑えることができます。
ただし、不動産会社によっては家賃保証会社の加入を必須にしているところもあります。
お祝い金がもらえる賃貸サイトを使う
家賃交渉が成功しても値下げ幅はせいぜい1,000円~2,000円がほとんどだと思います。
月1,000円下がれば2年の契約期間で24,000円ですから確かに大きいですね。
しかし家賃交渉は全ての物件でできるわけではありません。
家賃交渉ができなかった場合でも、お祝い金がもらえる賃貸サイトを利用して部屋探しをするとお得です。
- 申請手続きがかなり厳しいですが、5万円のお祝い金がもらえる「賃貸スモッカ」
- 15,000円は確実にもらえる「DOOR賃貸」
- 物件によってお祝い金が違う「キャッシュバック賃貸」
私はスモッカで5万円Getしましたが、申請手続きがめちゃくちゃ大変だったので正直おすすめはできないです。
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おすすめは、お祝い金も15,000円~とそれなりに高くて申請手続きが簡単な「DOOR賃貸」です。
「キャッシュバック賃貸」も申請手続きは簡単ですが、お祝い金が物件によって異なり、ほどんどが5,000円~10,000円です。
物件を問い合わせて成約に至るだけでお祝い金がもらえるので本当にお得な賃貸サイトです。
是非皆様のお引越しに役立ててください。
交渉のタイミング
家賃交渉するタイミングは「物件の内見を終えた後から入居の申し込みを行う前まで」がベストだと思います。
交渉内容も踏まえて入居の申し込みをし、入居審査をする流れになります。
入居審査後や契約直前に切り出すのでは遅いです。
法律上は契約締結前であれば交渉できなくもないですが、契約書を作り直したり色々と面倒なので応じてくれない場合が多いです。
必ず申し込み前に交渉しましょう。
この時、内見した物件が非常に気に入り、入居したいという意思を強く示すことが大切です。
入居したい意思があまり見えないと交渉に応じてくれない場合があります。
中小規模の管理会社の方が交渉しやすい
交渉はアナタが直接大家さんと話し合うわけではありません。
交渉内容を不動産屋に伝え、不動産屋が大家さんに交渉します。
アナタ ⇒ 不動産屋(管理会社) ⇒ 大家さん
という図式ですね。
しかし、一緒に内見に行った不動産屋が仲介会社だった場合は、間にもう一件不動産屋が入ります。
アナタ ⇒ 仲介会社 ⇒ 管理会社 ⇒ 大家さん
という図式になります。
つまり交渉が伝言ゲームのようになるわけです。
間に入る人が多くなればなるほど、言葉のニュアンスやアナタの意図が伝わりにくくなりますので、初めから管理会社にコンタクトを取った方が交渉しやすいです。
ただ、管理会社が大手企業の場合は対応が事務的で融通が利きにくい傾向があります。
交渉を切り出しても、大家さんに問い合わせもせず「それは無理です!」とバッサリ切り捨てられることもあります。
経験上、地域密着型の中小規模の管理会社なら前向きに交渉してくれるところが多かったです。
とはいえ、結局は不動産屋の担当者がどれだけ頑張ってくれるかですし、最終的な判断は大家さん次第であることをお忘れなく。
交渉に不利な時期
就職や進学などで新生活を迎える人が多い1月~3月。
年度の上期が終わる9月などは引っ越しする人が多く、引越し業界の繁忙期と言われています。
この時期は、賃貸物件の需要が高くなりますので、値引き交渉に応じてくれる可能性は低くなります。
交渉が通ったら契約すると約束する
せっかく交渉が通ったにも関わらず「やっぱりやめます」とか「他の物件に決めました」なんてのは絶対にダメです。
アナタの人間性が問われます。
アナタが契約しなければ、頑張って大家さんに掛け合ってくれた不動産会社の営業マンはタダ働きになるのです。
交渉を飲んだ大家さんもキャンセルされると気分が悪いですし、いい加減な人を紹介した不動産会社の信用も落ちます。
交渉するのはアナタが本当に入居したい物件のみにし、交渉が通ったら必ず契約しましょう。
家賃交渉成功例
私が以前住んでいたアパートに入居する際、実際に家賃交渉した内容の記事です。
皆様の家賃交渉の参考になれば幸いです。
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