国際化の進む日本。
現在、在留外国人数は200万人以上もいると言われてます。
近年では外国人観光客の増加や外資系企業の日本進出に伴い、どの企業でも語学力が必要になりつつあります。
2020年には東京オリンピックも開催され、積極的に外国人労働者を雇用する企業も増えつつあるので、今後さらに国際化が加速していくのは明らかです。
外国人が日本で働くためには住まいが必要ですが、社員寮がない場合は賃貸物件を借りて住むことになります。
ここでネックになるのが外国人の入居審査です。
この記事では、外国人の方が部屋を借りる時の入居審査について説明したいと思います。
一般的な賃貸物件の入居審査の基準や内容については下記の記事を参考にしてください。
外国人の入居審査はかなり厳しい
はっきり言って、外国人の方の入居審査はとても厳しいと言えます。
もちろん外国人の方でもちゃんと部屋は借りられますし、実際に賃貸物件に住んでいる外国人の方も大勢います。
大家さんも国籍や外国人だからという理由だけでは入居拒否はできません。
しかし、文化や考え方、生活習慣の違う外国人に部屋を貸した結果トラブルに発展するケースも多く、抵抗感を持っている大家さんが多いのは事実です。
実際にあった悪質なケースだと、無断で不法滞在の外国人を大勢同居させていたとか、室内を土足で生活していたために床がひどく傷んでいたとか、家賃を滞納した挙句帰国してしまったなどです。
また、ゴミの分別をする習慣のない国の人は何度注意してもゴミ捨てのルールが守れずトラブルになるケースが多いです。
「日本の常識は世界の非常識」なんて言われることもありますが、「郷に入っては郷に従え」という言葉があるように、日本で生活するなら日本のルールを守る必要があります。
外国人の方が賃貸物件を借りる場合、厳しい条件がつけられることがほとんどで、この条件をクリアしないと入居を断られるケースが多いです。
日本語が話せること
入居審査を通過する条件として、まず日本語が話せることが一つのポイントとなります。
何かトラブルが起きた時も日本語が話せないと話が通じず解決が困難になります。
片言の日本語は話せるけど、読み書きが出来ないレベルだと厳しいです。
契約時の賃貸借契約書や重要事項説明書は小難しい日本語がびっしりと記載されています。
日本人でもなかなか理解しがたい内容なのに、日本語の読み書きが出来ない外国人に理解できるはずがありません。
契約違反の無いように禁止事項や契約内容はしっかり理解してもらわなければいけません。
最低限大家さんや不動産屋と意思疎通ができて、ある程度読み書きが出来るレベルの日本語能力がないと、部屋を借りることは難しいでしょう。
家賃の支払い能力があること
仕事に就いていて家賃の支払い能力があるかどうかが最も重要になります。
不動産屋によっては本当にその会社で働いているという証明書(「就労証明書」や「在職証明書」)の提出を求められる場合があります。
日本人の場合でもこの家賃の支払い能力がもっとも重要視されます。
月の収入の中で家賃の割合が大きくなると家賃滞納のリスクが高くなりますので、入居審査に通りにくくなります。
家賃は月収の1/3以内が一般的と言われていますので、収入と家賃の割合も気を付けて部屋探しをしましょう。
在留資格があること
外国人が日本に入国、在留するためには入国管理局の許可が必要です。
この許可なしに日本に入国、在留することは不法滞在になります。
不法滞在ではないことの証明として、中長期在留者に交付される「在留カード」や、永住者に交付される「特別永住者証明書」の提示が求められる場合があります。
日本人の連帯保証人を立てる
大家さんや不動産屋によっては「日本人の連帯保証人を立ててください」と言われる場合があります。
この「日本人の連帯保証人」が一番の難関と言えるのではないでしょうか。
連帯保証人はもし契約者が何らかの理由で家賃の支払いができなくなった場合、その責任を負わなければいけません。
日本人の場合、親や兄弟など親族に保証人になってもらうのが一般的ですが、外国人の親族は外国人である場合がほとんどですので、日本人の保証人を探すのは非常に難しいです。
日本人は昔から「保証人にだけはなるな」と教えられて育っていますので、日本人の友人や知人ではなかなか保証人になってはくれないでしょう。
外国人専門の保証会社
ほとんどの外国人の方が日本人の連帯保証人を立てることできないと思いますが、それでも日本で賃貸契約を結び生活をしている人は大勢います。
そのような人たちは一体どうやって入居審査をクリアしたのでしょう?
実は保証会社の中には、外国人専門の保証会社や外国人にも対応している保証会社があるのです。
彼らの多くはこのような外国人向けの保証会社を利用することで厳しい入居審査をクリアしているのです。
外国人向けの保証会社は、同じく外国人に対応した不動産会社とも提携してるので、外国人が入居できる物件を紹介してもらうこともできます。
代表的なのは下記の2社です。
外国人専門の保証会社で部屋探しのサポートもしてくれます。
外国人には理解し難い日本の賃貸システムや起こりやすいトラブルなども丁寧に説明してくれます。
英語・韓国語・中国語・ベトナム語・ネパール語等の多国語に対応しています。
外国人にも対応した保証会社で、外国人対応の不動産会社とも積極的に提携しているようです。
部屋探しや契約に関するサポートなども行ってくれるようです。
会社に借りてもらう(法人契約)
外国人の方が個人で賃貸物件を借りるのは厳しい入居審査を通過する必要があるため、どうしてもハードルが高くなります。
仕事のために日本に来ている場合は、会社名義(法人契約)で部屋を借りてもらい寮として外国人の方が入居するケースも多いです。
個人契約よりも法人契約の方が会社のネームブランドや後ろ盾がある分借りやすくはなります。
しかし、外国人に部屋を貸すことに不安を抱いている大家さんだと、いくら有名企業が借りてくれるといっても実際に住むのが外国人だと分かると貸し渋る大家さんもいます。
国籍不問の低価格賃貸住宅 ビレッジハウス (Village House)
ビレッジハウスは職業・年齢・国籍不問で入居ができる低価格賃貸住宅です。
- 職業・年齢・国籍不問
- 礼金・仲介手数料・更新料・保証人不要
- 抽選がない
- 2K以上の物件が家賃2万円台から
シングルマザーや生活保護受給者、外国人や高齢者など、一般の物件では入居審査が通りにくかった人でも借りやすいのが特徴です。
ビレッジハウスの詳細については下記の記事を参考にしてください。
大切なのはルールを理解し守ること
賃貸借契約については外国とは違う日本独自のルールがあります。
そのため、外国人にとっては少々理解し難いこともあるかと思います。
しかし日本で生活する以上、日本の賃貸契約の仕組みや契約の内容を理解し、生活面においても日本のルールを守る必要があります。
母国では当たり前にしていたことが、日本では禁止されていたり、非常識になってしまうこともあります。
各市町村では、外国人向けのガイドブックを配布しているところもあります。
埼玉県が配布している外国人向けのガイドブックは、日本語・中国語・ポルトガル語・スペイン語・英語の5ヶ国語に対応していてとても参考になると思います。
【参考ページ】
埼玉県:賃貸住宅の借り方・住むときのルール
日本の賃貸住宅でやってはいけないこと
日本の賃貸住宅でトラブルにならないためにも、共同生活のルールを理解し守ることが必要です。
代表的な「日本の賃貸住宅でやってはいけないこと」を紹介します。
- 家賃滞納
家賃は原則翌月分を前払いします。 - 無断同居
無断で人を住まわせてはいけません。 - 転貸し
他の人に部屋を貸してはいけません。 - 部屋の改造
日本の賃貸には「原状回復(元通りにして返す)」という考え方があるため、勝手に部屋を改造したり壁に穴を開けたりしてはいけません。 - 土足禁止
日本は室内では靴を脱いで生活します。土足で生活してはいけません。 - 動物の飼育
日本の賃貸物件の多くはペットや動物の飼育を禁止していますので、ペット可の物件以外ではペットを飼ってはいけません。 - ゴミ出しのルール
ゴミ出しのルールは住んでいる市区町村で異なります。ゴミは決められた通りに分別し、ゴミ出しの時間と場所を守りましょう。 - キッチンの排水溝
キッチンの排水溝にゴミや油を流してはいけません。 - 楽器演奏
ほとんどの賃貸物件で楽器の演奏は禁止されています。 - 生活騒音
特に夜間の時間帯は大きな音を出さないように注意しなければいけません。 - 契約の解除
契約を解除したい時は最低でも黙って退去1ヶ月前までに連絡が必要です。黙って退去してはいけません。
他にも細かいことを挙げれば切りがないですが、日本人は謙虚な民族です。
謙虚とは「自分のことを差し置いて他人のことを優先する」という意味ですが、外国人にとってはこれはちょっと信じられないことかもしれません。
しかし、日本人は昔から「他人に迷惑をかけてはいけない」と教育されています。
特に賃貸住宅は他人同士が同じ建物で生活する共同生活の場ですから、他人の迷惑になるような行為をしてはいけません。
もちろん日本人でもこれが守れていない人は多いですが、やはりルールが守れないとトラブルになり、最悪の場合強制退去させられてしまうこともあります。
トラブルに巻き込まれないためにも、日本のルールをしっかり理解し、快適な生活を送ってください。